人生の真理は風呂焚きにあり!
昔はお風呂は薪で炊くのが普通で、それから灯油になり、ガスでお風呂を炊く時代になりました。
そもそも自分の家にお風呂がある家も珍しくて、みんな近場の銭湯を利用していました。
そんな中、私が小学校に上がるころ、我が家にお風呂場ができました。
と言っても、縁側の先に、土間にセメントを流し込んで、板塀とトタン屋根で囲った小さなお風呂場作ったに過ぎません。
でも風呂桶は新品で、檜のいい匂いがしました。
薪は父親の勤めていた東芝の子会社の運送会社から、梱包材の木材が毎日のように届けられます。
どういうわけか、風呂焚きは私の役ということになって、学校から帰ると、夕方から毎日風呂を炊くのが私の日課となりました。
毎朝、焚き火でもらってくる熾火に火をつけ、それが細く裂いた薪に燃え移り、やがて太い薪に火がついて燃えさかるまで、必死に手を動かすのですが、頭は逆に、シンと冴え渡っていきます。
どういうのでしょう、その時私はとてつもなく大きな深呼吸をしたような状態になるのです。
風呂釜の火を通して、深い人生の真理が見える瞬間でした。