品川沖のカレイの煮付け
またまた古い話です。
私の子供の頃は、品川にも漁師さんがいて、毎日とれたての魚を売って歩いていました。
だいたいが海苔の養殖も兼ねているので、売り歩く量もたかが知れているのですが、お馴染みさんも多く、決まった辻々にリヤカーを止めて、お客さんが寄ってくるのを待っていました。
大漁の時など、私たち子供がリヤカーの後ろを押してやると、お駄賃に売りものの魚をタダでくれることがありました。
売っているのは、アナゴやハゼなのですが、私の好物はカレイでした。
それを甘辛に煮てもらうのですが、刺身に出来るほど立派なカレイで、口に入れると、甘辛くとろけるようで、今でも一番の好物と言っていいです。
ところが、だんだん東京湾の魚が取れなくなり、海苔の養殖も保証金をもらって廃止され、漁師さんたちばみんな屋形船になり、品川沖の魚が口に入らなくなってしまいました。
北品川にあった天ぷら屋さんもとっくの昔に店じまいしたそうです。