コンクリートの上の赤い文字
判じものではありません。
そのまま、コンクリートの上に赤鉛筆で書かれた文字は、私には読めない、ということです。
昔、早稲田に通っていた頃、兄の経営する土木会社でアルバイトをしていました。
ある日、機械を設置するための芯だしを基礎のコンクリートにしていた時、兄がコンクリートに書いた線と文字が全く見えないことに気付きました。
私は鉛筆の芯が折れていると思い、その旨を兄に言うと、兄はあんぐりと口を開けて私の方を見ました。
この字が見えないんだ、そう言うと、兄は赤鉛筆の先を私に見せてくれました。
赤鉛筆にはちゃんと芯がついていました。
私は必死に目を凝らしましたが、やはり、線と文字は全く見えません。
私は、自分が色覚異常であること、それが赤と緑の識別が難しい赤緑色覚異常であることを学校の検査で知ってはいましたが、日常生活の中で、思い知らされたのは、これが初めてでした。